【記録】はじめての国会傍聴

 2月某日、国会傍聴に行ってきた。

 地味にここ1年くらいはちょこちょこ国会中継を見るようになって、というとしっかり見ているように思われそうだけど、在宅勤務のBGV的に流している程度のふまじめ視聴です。みんなもっと国会を見たらいいのに、と思うのだけど、「国会を見る」というとたぶんかなりカタくまじめに見なければいけない、と思われるのかも。わたしくらいふまじめに国会を見はじめるのもよいのではないでしょうか。

 


 このあたりが入門書として読みやすかった。『国会というゲームのルール』を読んで、「国会はルールに則って進行する」ことを(よくよく考えたら当たり前なんだけど)はじめて意識したかもしれない。義務教育で定員数とか数字の話は習ったけど、実際国会がどんなふうに運営されているのかって全然習った覚えがないな。地方出身だから社会科見学で国会議事堂に行くこともなかったし、学生時代も社会人になったいまも開会中は勉強したり仕事したりしてるわけで、上京してからも近いようで遠かった霞ヶ関。在宅勤務にならなかったらいまももっと遠かったかもしれない霞ヶ関。に、行ってきましたという記録です。

 結論から言うとめっちゃ楽しかったのだけど、国会傍聴に行ってみたい! と思ったときに、どうやればいいのかがなかなかネットに落ちてないのがかなりネックになるんじゃないかな〜と思ったのでこのエントリを書いています。これから国会傍聴に行こうとしている誰かの役に少しでも立てばなによりです。

 

傍聴申込み

 まず、国会傍聴とひとくちに言っても、本会議委員会のどっちを見に行くかで変わってくる。本会議は当日ぶらっと訪れても入れるけど、委員会は議員の紹介がないと入れないので注意。わたしが今回傍聴したのは委員会の方。いきなりハードルが高い方なんかい。本会議の方が「国会」と聞いてパッと思い浮かぶイメージ通りの国会ではあるんだけど(部屋もあのずらっと人が並んでるとこですね)、なんせ日本の国会は委員会中心主義。そして、その中でもあらゆる問題が議論される予算委員会が初心者のミーハーには一番おもしろく見られる、はずなんですよ。

 というわけで、できたら予算委員会を傍聴してみたいな〜と思っていたところに、友人が衆議院議員の事務所に問い合わせをしてくれて、無事傍聴できることに。ややこしいところを自分でやっていないのでなんとも言えないのだけど、けっこうさっくりと傍聴できることになったので、おそらくそんなに身構えず気軽に問い合わせてみるのが吉、ということなんじゃないかしら。

 

当日の流れ

 8:30に衆議院議員面会所で担当の方と待ち合わせ。晴天。

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 ちなみに、ここで日本の国旗とともに掲げられているのはアルバニアの国旗。当日、アルバニアの方が来られていたらしく、そういう場合は国旗の色に合わせたお花を準備したりもするのだとか。

 

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 担当の方から傍聴券をいただき、自分の名前と年齢を記入。特に本人確認などはなかった……と思う。傍聴を申し込むときにも名前と職業の申告は必要だったけど、本当に最低限の情報という感じ。コロッケそばの食券で隠してるけど、左側には取り次いでくださった議員さんのお名前が載ってます。

 一応9:00ごろから始まる予定ではあったけど、衛視さんから理事会が終わらないことには始まらないですよ、と告げられる。この日は集中審議でNHKの中継も入っていたのでたぶん時間通りに始まると思いますけど……ということだったけど、日によっては理事会で揉めて始まらないこともあるらしい。

 無事始まりそう、ということでいよいよ内部へ……。いたるところで衛視さんに傍聴券を見せる必要がある。手荷物検査や金属探知機を通ったあとは、筆記用具以外はロッカーに入れて入場。上着などもNGらしい。厳しい。筆箱とノート、担当の方がご厚意でくださった当日の発言表を持って中へ。

 報道席の後ろあたりが傍聴席になっていて、好きなところに座ってよいようだった。答弁側を舞台としたときに、上手側の2階席の位置が傍聴席。参議院では逆の位置にあるらしい。大学の講義室を思い出す長机があるのでメモはとりやすい。

 開会直後はあまり人がいなかったのだけど、立憲の泉党首あたりの質疑のころには報道席に人がごった返している状態に。そのあたりの動きを見ているのも楽しかった。傍聴席については、関係者っぽい人は入れ替わり立ち替わり来ていた(傍聴人は持ち込み不可なスマホで写真を撮ったりPCで記録を取ったりしていたので、おそらく質疑を担当している議員さんの関係者かな、と思った)けれど、純粋な傍聴人はわたしたちくらいだったかもしれない。

 最初、議員さんたちが拍手をするタイミングで反射で拍手をしそうになって危なかった(傍聴人はアクションを起こしてはいけないのです)。

 肝心の傍聴はというと、質疑内容ももちろん聞いてはいたけど、本筋はあとからでも参照できるので、中継ではあまり味わえないであろう細かい野次だったり、他の議員たちの反応や動きを主に見ていた。思っていたよりも出入り自由でな様子で、議員さんが入れ替わり立ち替わりしているのが見えた。

 野次っていうと悪印象が強いかもしれないけど、あれって必要なものなんだなというのがとても印象に残った(ひどい野次は論外だけど)。たとえばひどい質疑や答弁があったとき、それを容認しないという姿勢を示したり、逆にいい質疑に対して同意を示したり、議論の流れをよくする効果もあると思った。お笑いにおいて、よいツッコミが入ると場があったまるみたいなもので。ものすごくよいタイミングに的確な野次が入ったときには思わず笑ってしまった。


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▲心得

 

 お昼は外には出られないので、敷地内のお蕎麦屋さんへ。牛丼屋などもあった。コロッケそばを注文していたら後ろにさっき質疑をしていた議員さんが! なんとなく、政治家に対して遠い存在のような印象を持ってしまう部分があるのだけど、こんなに近くにいるんだなーと。言ったらここが職場なんだから当たり前のことなんだけど。

 

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▲お昼を済ませたあとはベンチでひなたぼっこをして過ごした

 

 お昼のあとはどうしても少し眠たくなってしまったり……。というか、めちゃくちゃ場内が暑かったんです。構造上こもりやすいんだと思う。水も持ち込めないし……。中にはあまり積極的に聞きたくないな、という質疑もあったし。中継とは違って、興味のないところとか聞きたくないところをミュートしたりできないのがつらいところでもあり、一方でこういう機会でもないと国会にフルでしっかり向き合うのもなかなか難しいというのもあり。出たければ途中で出られるのだけど、せっかくなのでなんとか最後まで傍聴した。

 終わったあと、一緒に傍聴した友人と感じたことを少し話したり、自分が実際に見聞きしたものがどんなふうに報道されているかを確認したり……という時間も楽しくて、重要な体験だったと思う。自分の中の問題意識や興味がちょっと明確になる感じとか、普段ももっと慎重に一次情報に当たらないといけないなと気を引き締めたりとか。個人的には友人と傍聴できたのがさらによい体験にしてくれたと思う。感謝。

 

 みんなもっと気軽に傍聴してみたほうがよい、とは思ったのだけど、どうしても平日にしかやっていない・スケジュールが直前にしか出ない、といったハードルがあるからなかなか難しいんだろうなあ。中継は中継で、正直ストリーミングにアクセスするのすら億劫なところがあるので、国会中継だけやってるチャンネルとかがあればいいのに。いずれにせよもっと国会の話が気軽にできるようになってほしいな。単純に面白いっていうのもあるし。